MANIFEST2/マニフェスト2 ジャレッドが気の毒すぎる件について
予想通りシーズン1では収集がつかず、当然のようにシーズン2にもつれ込み、更にSF感が高まってもはやなんでもありの感のマニュフェストです。
もともと、旅客機が行方不明になり、戻ってきたら5年半の月日がたっていた、この超自然現象が陰謀だったのではという“SFミステリー”と、飛行機に乗っていた人々と5年半彼らのいない生活を送っていた人々の“ヒューマンドラマ”がストーリーの本軸とされていたけれど、ミステリーの方はもはや訳が分からなくなっているので、それはそれとして人間ドラマの方を楽しもうと見ていたが、それにしては、シーズン2は観ていて辛い。
だいたいシーズン1から、主人公兄弟の被害者感がどうかなあ?と思うところはある。自分たちのいなかった5年半の間家族や職場を守ってくれていた人たちへの思いやりがなさすぎるのだ。
まず気の毒だったのはベンの奥さんグレースの恋人ダニー。これ、ベンが行方不明になり(死んだとされていた)その後グレースを支えていた恋人だ。あんまり出番なかったけど娘のオリーブともうまくいっていた模様。しかしこのダニー、ベンが戻ってきたから割とあっさりグレースから捨てられる。いや、まあ何といってもまだ夫婦だし子供もいるし、グレースがベンを選ぶのは仕方ない、仕方ないんだけど扱いが雑だ。シーズン2ではグレースの妊娠が判明して、ベンの子かダニーの子かわからないのにダニーには内緒。「きっとあなたの子よ」と二人で喜びあうのだが、ねえ、せめてダニーにも教えてあげて。
このダニーより更に気の毒なのはジャレッド。ミカエラの恋人だったけれど、5年半の間にミカエラの友人と結婚。(恋人と友達を失ったもの同士が慰めあった結果という、まあよくある話。)で、ミカエラが帰ってきてなんやかんやあって結局離婚して元のさやに納まった、かと思いきやミカエラが冷たい。あんなに未練たっぷりで(なんせミカエラ的には1日しかたってないのに恋人が結婚してたわけだからそこは仕方ないんだけど)あれこれジャレッドに付きまとってたくせに、ひとたび手に入ると急に「考えたい」とか言い出す。なんでだ、と思っていたら、突然ジークという新しい男が登場する。この男、飛行機の乗客でもないまったく新たな謎にまつわる男だから、視聴者にとってもジャレッドにとっても「突然」現れた男なのだ。なのになんだか謎繋がりでミカエラがあっさりこのジークに乗り換える。いやいやジャレッドはあなたのために離婚したんですけど?と思う。
しかもこのミカエラ、性格がきつい。突然あらわれた男のために長年の恋人で(繰り返すが)自分のために離婚までした男をあっさり捨てたあげくに「もうお互いに前に進みましょう」などとストーカー扱いする。そのくせ何かというと「人として正しいことをして」と引き続き協力は強要をする。ひどすぎる。
ジャレッドが気の毒なのは、ミカエラの仕事の同僚なので、ダニーのようにフェイドアウトすることもできずにかわいそうな立ち位置のままずっと登場していることだ。そのせいでシーズン2になってキャラが変貌していく。シーズン1ではやや頭の固いところはあるものの、誠実で正義感の強い刑事だったのに、シーズン2では偏屈な皮肉屋に変貌する。もはやミカエラからすると敵扱いだ。
何もかももつれたままシーズン3に突入するらしい。今のままじゃ観ていて辛い。ジャレッドの扱いを見直すことを強く要求する。(誰にだ)