海外ドラマ好きの独り言

海外ドラマ好きのOLが、ドラマの感想をつらつらと述べるブログです。クライムサスペンス、法廷物中心、時々ハートフル

プロディガル・サン 殺人鬼の系譜 期待以上に面白いクリミナルサスペンス

「殺人鬼の系譜」という副題は日本でしか使ってないようだけれど「Prodigal Son」は英語のままのタイトルで、最近こういうのが増えて嬉しい。変にタイトルを変えられるとアメリカのニュースを聞いてもわからなくなるのだ。ちなみにこのプロディガル・サンはシーズン2で打ち切りという残念なニュースだったが。

キャッチフレーズは「羊たちの沈黙」X「メンタリスト」
主人公のマルコムはプロファイラーとしてニューヨーク市警に協力して犯罪者の心理を読み事件を解決する。これがメンタリストのパート。
マルコムの父親は有名なシリアルキラーのマーティン・ウィットリー。今は捕まって刑務所にいるが、その天才的な頭脳と外科の腕をかわれて特別室から医療相談や時には遠隔手術を行っている。マルコムはこの父親でありシリアルキラーから犯人の心理を学び、時に父親から事件解決のアドバイスをうける。これが羊たちの沈黙のパート。

画面は暗めで、事件も陰惨な殺人事件が多いが、ドラマの作りは意外と明るい。
シリアルキラーの父親は陽気でお喋りなサイコパスで、このあたりは「ブラック・リスト」のレディントンのようなタイプだ。よく喋るが何が本当で何が嘘かがわからない。
幼い頃大好きな父の犯罪に気がつき警察に通報したマルコムは当然そのことが大きなトラウマになっており、夜驚症のため自ら手錠をかけてマウスピースをして眠っている。このマルコムもどちらかというとお喋りな青年だが、彼の場合は父親と違っていささかハイになっているような危うさを感じさせる陽気さだ。
大金持ちの母親、父親が逮捕された時は赤ん坊だったからほとんど記憶のない妹、マルコムを子供の頃から世話をしていた市警の警部、文句をいいながらもなんだかんだいって割とすんなりマルコムを受け入れる刑事の仲間達。マルコムの周囲にいる人達も丁寧に描かれている。

一話完結の形で事件もスマートに解決していき、期待していたより面白いドラマだ。打ち切りは残念だがシーズン2にも期待している。
ちなみに「Prodigal Son」は辞書によると「放蕩息子」。この場合息子とはマルコムのことだろう。ただ、このProdigal Sonには聖ルカ伝で「悔い改めた道楽者」という意味もあるらしく、悔い改めた(神の)息子。つまり刑務所にいるマーティン・ウィットリーのことも指しているのではないか。洒落たタイトルだと思う。

BULL ブル 法廷を操る男 ー よくできた裁判ドラマー

『BULL ブル 法廷を操る男』は『NCIS』のディノッゾで知られるマイケル・ウェザリー主演の裁判ドラマである。主役のブルは訴訟コンサルタント会社を経営している。心理学者の彼を中心に、元検察官や元FBI捜査官、ITスペシャリストなどのスタッフ達と裁判を分析し、陪審員の心理を読み、裁判の戦略をきめて依頼人を勝利に導く、というドラマだ。弁護士でも検事でもなく陪審員に焦点をあてているあたりは他の裁判ドラマと異なる点であり、陪審員が「真実」さえも決めるアメリカの裁判制度をよく表していると思う。裁判もバラエティに富んでおり、陪審員の選び方も本格的で見応えがある。
心理学者が社長の会社というあたり、『ライ・トゥ・ミー』に似ているが(主役の男性とそれをサポートする美女という点も)ライ・トゥ・ミーの主役だったライトマンが偏屈な皮肉屋だったのに比べ、ブルは陽気で人好きのするタイプなので見ていて楽しい。社長の性格を反映して、ライ・トゥ・ミーのライトマン・グループはなにやらギスギスした会社だったが、このブルの会社TACは仲良しでお互いを尊重していて、そういう意味でも見ていて嫌な気がしない。それでいて登場人物達の個人的な恋愛話や過去のトラウマに引っ張られすぎることなく物語が進んでいくプロフェッショナルなところもいい。
裁判ドラマとしても心理ドラマとしても面白く、展開が楽しみなドラマだ。

10年以上NCISに出て、すっかりディノッゾのイメージがついていたマイケル・ウェザリーだが、上手く転身したと思う。長寿番組で人気の俳優が次のドラマにいくときは、『ボーンズ』のデヴィッド・ボレアナズも『クリミナルマインド』のシェマー・ムーアも捜査官や特殊部隊隊員と同じように犯人と戦うアクション系で移行しているのに対し、マイケル・ウェザリーは全く違う学者の役を選んだところがよかった。それでいて陽気で冗談好きな所はディノッゾと一緒なので違和感がない。マイケル・ウェザリー『BULL』はすでに終了していて、次のドラマの撮影が始まっているらしい。楽しみだ。

NUMBERS 天才数学者の事件ファイル/NUMB3RS 再放送があったら必ず見てしまう良質ドラマ

NUMBERS 天才数学者の事件ファイルがスーパードラマTVで再放送をするらしい。人気のドラマだから定期的に再放送をしているイメージだ。
ファイナルシーズンが2010年だからまあまあ古いドラマだが、今見ても安定して面白い丁寧に作られたドラマである。

主人公は天才数学者のチャールズ・エプス、若き天才教授がその才能をいかしてFBI捜査官の兄ドン・エプスとともに事件を解決していく一話完結の捜査ドラマである。捜査官とちょっと変人のコンサルタント、というのはよくある構図だが、このドラマはその2人が兄弟なので信頼関係が絶大だし、無意味な争いもなくて見やすい。
クールで独立心の強いドンと、人懐っこく未だ実家暮らしのチャールズというキャラクターが、いかにも兄と弟という感じで微笑ましい。
数学論はもとより、事件も兄弟の周辺の人物も丁寧にリアルに描かれている。
個人的に一番のお気に入りは、チャールズの同僚(歳はかなり上)のラリーと、ドンの同僚のメーガンの恋愛ストーリーだ。ラリーは浮世離れした変わり者だが純粋で優秀な物理学者で、メーガンは男勝りのFBI捜査官で心理学者でもある。この2人が大人の静かな交際をしている、らしいということしかドラマでは描かれない。そこがいい。誰も彼もが今日付き合って明日分かれたりしているわけではないのだ。(そういう意味ではこのドラマはみんな比較的安定した恋愛をしている。)
一話完結なのも徹底しているので、再放送をしていると必ずみてしまうドラマだ。

ところでドン役のロブ・モロー、『サバイバー』でジャーナリスト役をやっていたがいつの間にかいなくなっていたな・・・

グッドドクター名医の条件 ~バランスのよい医療ドラマ~

グッドドクター名医の条件(The Good Doctor)、アメリカでは現在シーズン4を放送中らしい医療ドラマで、私は見ていないけれど同名の韓国ドラマのリメイクらしい。
主人公のショーンは自閉症サヴァン症候群の研修医。彼が天才的な記憶力と空間認知能力で活躍しながら医師として成長していくする医療ドラマである。と聞くとなんだかちょっとシリアスでみていて辛い話かなと思ったが、意外とそうでもない。AXNの紹介文に「病院関係者や先輩・同僚からの偏見や確執を乗り越えて成長していく」とあったが、みていると意外にすんなり受け入れられるのだ。患者達もおかしな言動をする担当医に「へー、先生自閉症なの?」という程度の反応なのだ。
そもそも医療ドラマというと、患者そっちのけで病院の利権争いや出世争いがメインストーリーになっていたり(『レジデンス』とか)、なんか医者と看護婦の入り乱れる恋愛関係をだらだら見せられたり(『シカゴメッド』とか)する危険があるが、その点このグッドドクターはバランスがいい。権力争いも恋愛話も多少まぜこみながらもあくまでも医療がメインとなっている。
ショーンの直属の上司である外科医のメレンデスは自信家で傲慢だが腕のいい外科医で、ショーンにも他の研修医にも厳しいながらもきちんと仕事を教えてくれる。さらにその上の外科責任者であるアンドリュースは出世欲が強く皮肉屋だが、こちらもまた一流の形成外科医で惜しみなく働く。この2人が基本的には対立しているのだが、いざ難しい症例にあたると患者ファーストで協力しあう。金持ちや有名人の患者で知名度をあげるのが大好きだが、一方で貧しい患者をおろそかにもしない。このあたりのバランスが素晴らしい。

ところでこのアンドリュース先生を演じるヒル・ハーパー、『CSI NY』の新人捜査官のホークスだった俳優さんだ。確かホークスも元外科医だったんだよな、と思い出しながら見ていた。

まだシーズン2までしか見ていないが、このペースをたもったままで続けてくれるのなら、しばらく楽しめそうなドラマだ。

PERSON of INTEREST 犯罪予知ユニット 文句を言いながらもイッキ見をみると思う

年末年始にAXNがパーソン・オブ・インタレストのイッキミをするようだ。文句をいいつつも多分結局全部見る、と思う。
2011年に始まり、シーズン5がFinalだった。最後にかなりぐちゃっとしたアクション物になったとはいえ、サスペンス要素もアクション要素もSF要素もたっぷりでハマったドラマだった。

アメリ同時多発テロをうけ、ITの天才であるフィンチがテロを検知するシステム「マシン」を作る。街中の監視カメラや、携帯等の個人情報すべてを集めて分析し犯罪の予測をするシステムで、当然違法なものながら極秘に政府に譲られて政府の管理の下運用がはじまる。ただし監視対象はあくまでもテロであり、その他の犯罪は、たとえ殺人でも「無用」とされる。そこに疑問をもったフィンチがひそかにマシンにアクセスできるバックドアを作り「無用」とされた犯罪を防ぐための活動を始める。その実行のために雇われたのが元シールズでCIAエージェントのリースだ。

リースは燃え尽き症候群に加え恋人を亡くしたショックで世捨て人になっていたのだが、フィンチに雇われ犯罪と戦うことで立ち直ってゆく。このリース、長身でスーツ姿のクールな役だが、以外と人懐っこい。もっと世をすねているタイプかと思いきや、すぐに正義感をとりもどし、フィンチにもなつく。むしろフィンチの方が戸惑って、時々思い出したように「私は雇い主にすぎないんだ」と言ってみたりするが、リースがぐいぐいとくるので徐々に心を開いていく。このあたりがスムーズで、重いテーマでも軽くみせているところがいいドラマだと思う。

この話で面白いのは、マシンが検知するのが「(テロ以外の)犯罪の起こる可能性」とその関係者の社会保障番号だけなので、その人物がなぜ犯罪に巻き込まれるのかはわからないところだ。犯人なのか被害者なのか目撃者なのかがわからない。そこでリースがその人物に近づいて、いったいどんな犯罪が行われる可能性があるのかを調査し、防ぐ、というのが一話ごとに行われる。ここに謎解きもあるし、アクションもある。ところでリース、かなり強い。素手で戦うとなるとあらゆるドラマの中でも一番強いんじゃないかなー。Hawaii five0のスティーブが個人的には一番だったんだけど、彼より強いんじゃないかな。

あとこのドラマ、女性陣もみんな武闘派だ。フィクサーで協力者のゾーイや、警察官のカーター(最初は自警団活動をするリースを逮捕するために追っていたがやがて味方になる)、組織から派遣されたショウ(最初は敵対していたがやがて味方になる)ハッカーのルート(マシンに執着していて最初は敵対していたが(以下略))等々みんな銃がよく似合う。女性陣がそんなだから無駄な恋愛話でだらだらすることもなく、話がブレずに進んでいき気持ちがよい。

シーズン5にもなるとマシンに敵対するマシン、サマリタンが出てきたりしてSF的ストーリーが迷走した感は否めないが、このドラマらしいスピードと軽やかさはたもったままなんとか収集がついてFinalとなったと思う。
特にシーズン1から3あたりまでは、ややこしいストーリーがありながらも単発のアクションドラマとしても何度でも楽しめるドラマだ。

All Rise オール・ライズ 判事ローラ・カーマイケル 期待の法廷ドラマ

Super Drama TVで放送が始まった新しい法廷ドラマ、All Rise。SUITS、グッドワイフに続く法廷ドラマという触れ込みだ。
ドラマは地方検事代理だったローラが判事へとキャリアアップしたところから始まる。元同僚で親友の検事のマーク、公選弁護人のエミリー、司法補佐、廷吏、速記者など周辺の登場人物も丁寧に描かれており、裁判のシステムもよくわかるところはグッドワイフを彷彿とさせる。(私の中ではSUITSはそもそも法廷ドラマではない。)ローラが黒人女性(弁護士のエミリーも黒人女性)なので、そっち系(BLMやMeToo)の話題が多くなってしまっているがゆえに裁判のストーリーそのものがちょっと物足りないのは、今のご時世仕方ないのかもしれない。それでも裁判の様子がわかり、陪審制度の面白さもしっかりわかる興味深いドラマだ。

私の望みとしては、ローラとマークが親友同士のままでいてほしい。ローラはFBIの夫がいるし、マークにはモデルの彼女がいる。ここがややこしくなってきたらおそらく見るのをやめるだろう。グッドワイフのダイアンとウィルのように、大親友のままでいてくれるのを祈るばかりである。

S.W.A.T. 意外とウェットなアクションドラマ

あのクリミナルマインドで大人気だったシェマー・ムーアが主役となったのが話題の「S.W.A.T.」。タイトル通り、警察特殊部隊SWATが主役のドラマである。
1975年に放送された「特別狙撃隊S.W.A.T.」のリブート版らしい。私個人としてはサミュエル・L・ジャクソンコリン・ファレルの映画(これもドラマのリメイク)が印象に残っている。(麻薬王オリヴィエ・マルティネスがセクシーでよかったんだよなー)

クリミナルマインドを惜しまれつつ去ったシェマー・ムーアが、今度はSWATのチームリーダーとして活躍するのだが、まあクリミナルマインドでも武闘派だったし、そんなに違和感はない。この精鋭チームが日々事件を解決するのを縦軸に、メンバーそれぞれの事情や悩みを横軸に、物語が展開していく。が、しかし。この横軸が太すぎる。縦軸がどうでもいいくらいみんなプライベートの悩み多すぎ!なんかきっと、隊員達のリアルな人間味をだそうとしているんだろうけれど、そのせいでなんだか全般的に暗いドラマになってしまっている。からっと陽気な精鋭チームのかっこいいアクションを期待していたのでいささか肩すかしだ。一方でリアルなのかと思いきや、SWATの仕事内容はそれほどリアルでない、と思う。SWATって大事件の対処をするチームなんじゃないだろうか。よく知らないけど。イメージでは、誘拐事件とか立てこもりとか、大量殺人とかそういうのに出動するのだと思ったが。そんな事件がしょっちゅう発生するわけではないから、ドラマでは、事件解決のための聞き込みとか、はては潜入捜査とかしている。明らかに警察の仕事だろうに。
そんなわけで、肝心のSWATの仕事の部分がブレブレで、プライベート問題で隊員達がグラグラで、どうも後味の悪い回が多いのだ。ドラマみてスカっとしたい、というのはこちらの勝手な言い草だが。そんなことをいいつつもシーズン4まですすんでいるから、人気があるのかな?シェマー・ムーアが上手く移行したことは喜ばしい、と思うけど。

ちなみにシーズン3では日本が舞台となる。見る前から嫌な予感しかしなかったが、予感的中。プロレス喫茶?みたいなところで女子プロレスラーと大立ち回りをするわ、全身入れ墨のヤクザ(もちろん日本語はカタコト)とマッサージ店で戦うわ、最後はヤクザと新宿で銃撃戦を繰り広げていた。ヤクザといえどもマシンガンはそんなに持ってないし、そもそもアメリカの特殊部隊が東京を歩いていたら大問題だ。とにかく、日本が舞台、となった時点でコメディと割り切るしかないのがアメリカドラマの常識である。